セッティング FH Zero
ロングスリープしたい・・・
ハイパーヨーヨーにフリーハンドと言う名機がありました。2007/01/20 現在、DUNCANブランドでFH Zeroとして生まれ変わっています。FH Zeroは誰もが認める名機です。
ノーマルのFH Zeroで数十秒程度スリープします。これを1分までのばしたいのです。
スリープと潤滑油
FH Zeroのアクセルは、ボールベアリングになっています。理想的なボールベアリングは摩擦抵抗は0になりますが、現実のボールベアリングはそうなりません。なぜなら、ベアリング内部の金属ボールが隣同士でぶつからないように保持金具が挿入されています。構造上、保持金具と金属ボールは擦れ合います。ここでの摩耗を軽減するためベアリングに潤滑油を注入します。
(ベアリング内部の熱を逃がすため、また騒音を抑える目的の方が重要みたいです。)
この油、メンテナンス回数を減らすためにグリース等の堅めの油を使用するのが一般的です。メーカーとしては、ベアリングとしての性能を追求するより、耐久性を重視するようです。
思い浮かべてください。
1枚の鉄板を床に置きます。その鉄板の上に金属のボールをバラバラと間隔を空けて敷き詰めます。そして、その金属ボールの上にもう1枚鉄板をおいてください。
金属ボールを鉄板でサンドイッチした状態です。
この状態、上に置いた鉄板は簡単に滑らせる事が出来ると思いませんか?上の鉄板に乗ってしまえばスルっと滑って転倒してしまいそうな・・・
これがボールベアリングの構造です。
この鉄板を『板』ではなく『筒』にする様にクルっと巻いてやればボールベアリングの出来上がりです。
大小サイズの異なる金属の筒を2つ重ねて、筒の隙間に金属ボールを入れてやるのです。
もちろん、それだけでは隙間に入れたボールベアリングがこぼれ落ちてしまうので、落ちないように溝を掘ったりボール同士が等間隔になる様に保持金具を入れたりの工夫が施されています。
ベアリングの構造がわかったところで、はじめに説明した2枚の鉄板に戻ってください。
上の鉄板。ちょっと押してやれば下の鉄板とボールの続く限りスーっと滑って行きそうですよね?
では、鉄板とボールが傷まない様に粘りけのあるグリースをペッタリ塗ったらどうでしょうか?
重たい荷物を乗せた時の『滑り』はあまり変わらないかもしれません。しかし、軽いものではどうでしょう?グリースを塗る前はチョンと押しただけでスーっと滑ってしまいそうだった鉄板もグリースを塗ってしまうと、押すのを止めた途端、止まってしまいそうですよね?
事実、グリースがボールの抵抗になって鉄板はすぐに止まってしまいます。
これがスリープと潤滑油の関係です。
潤滑油を注すとスリープ時間が短くなる!
イメージでは、スリープ時間を長くするために潤滑油を注しているのですが、実際は全くの逆!
潤滑油を注すとスリープ時間が短くなるのです。
では、スリープを長くするにはどうすればよいのか?
もうおわかりですね?
そう!グリースを取り除いてやれば良いのです。
ボールベアリングの潤滑油は、ベアリングの寿命を延ばすために注油されています。ボールが転がる時に発生する振動や騒音を小さくするのです。そして熱伝導を良くしてベアリング内部の熱を外へ逃がしてやる作用。この様な目的でベアリング内部にグリースを注入しています。
ですから、内部の油を粘りけのあるモノから粘りけの少ないサラサラしたモノに替えるだけでスリープ時間は長くなります。
ベアリング内部の潤滑油を完全に取り除けば(脱脂と呼びます)、ベアリングの寿命は短くなりますが、スリープ性能はあっと驚くモノになるのです。
セッティング
まず、ベアリングオーバーホール2をご覧下さい。
今回のセッティングではベアリングのカバーを外します。ベアリングのカバーは、ベアリング内部へのゴミなどの進入を防いだり防音効果やグリース等の保護を目的としており、性能をのばすための物ではないからです。
完全に脱脂するためにはカバーは邪魔です。そこで思い切ってカバーを外します。
カバーを外したら
↑こんな感じで割り箸などを利用してベアリングを棒の先に固定します。
そしてボールベアリングメンテナンスで紹介したパーツクリーナー等を使ってベアリングを洗浄してください。カバーを外しているので容易に洗浄できます。また棒の先にベアリングを固定しているので非常に簡単かつ確実に洗浄可能です。
パーツクリーナーは、ホームセンター等で売っています。
注意すべきは、ブレーキに使用できる『脱脂効果』のある物を選択することです。
目的は、『脱脂』ですから、ブレーキを洗浄する目的のパーツクリーナーをお求めください。
洗浄後は、良く乾かしてください。完全に脱脂するとベアリングは良く回らなくなる場合があります。
ガリガリと引っかかって、よくまわりません。
これは、長い間使っていたベアリングには、カバーの隙間からゴミが侵入してボールの回転を妨げているからです。グリースが注入されている状態では、グリースがゴミを防いだり滑らせたりするので、ガリガリと引っかかることはありません。そのグリースが無くなったのでゴミが引っかかるのです。
この様な場合は、もう一度洗浄します。それでもゴミが取れない場合は、引っかかりを無視して指で回してみてください。無理やりゴミがはずれてクルクルと回りだす事があります。
新しいベアリングは、内部もきれいですから脱脂したらすぐにクルクルとよく回るようになります。
そして、片側のフリクションステッカーを剥がしてください。
ノーマルではフリクションステッカーを2枚貼り付けますが、ロングスリープには邪魔になってしまいます。全部剥がすともっとスリープしそうですが、今度はスカってヨーヨーを回すことができません。そこで1枚だけ剥がしてください。
さらに滑りの良いポリエステル100%のストリングに交換します。少しでもスリープを伸ばすためにポリエステルの滑りの良さを取り入れます。
結果
うまく行きました!
軽く1分オーバーです。
『縒り調節』と言うテクニックを使うと3分ほどスリープしました。(*^-^*)v
ただし、ベアリングからはすごい騒音がしています。(^^;
ヨーヨー本体は、非常に軽い荷重なのでそれほどベアリングに負担をかけることはないと思いますが、それでもグリースなしなので、寿命は短くなると思います。
しかし、ベアリング単品は安価で販売も行っていますので、あまり恐れずに挑戦してみてはいかがでしょうか?
あっと驚くロングスリープを体験しましょう!